IoA Seminar 2013 / 2013年度・東京大学・天文学教育研究センター・談話会

次回以降の談話会

第221回: 2013/5/8(木) 15:30-16:30

Speaker: 遠藤 光 (デルフト工科大学 カブリ ナノ科学研究所)

Title: アストロフォトニクス:オンチップ超伝導分光計DESHIMAの研究開発

Abstract:
私のねらいは、超伝導光路などを用いて、ミリ波サブミリ波帯で
アストロフォトニクス (Astrophotonics)[1]を展開することである。
多くの天文観測装置、特に遠赤外より短波 長の領域ではこれまで、
自由空間を伝搬する光を反射/屈折光学系で操作する方式が採用されてきた。
そこへ近年、急速に進歩したフォトニクス技術によって、光ファイバーや
オンチップ光路などを用いて光を操作することが現実的となった。これにより、
装置の高性能化・多機能化・簡素化・小型化を追求するアプローチが、
アストロフォトニクスである。さて、ミリ波サブミリ波帯は、光子のエネルギーが
複数の超伝導体のエネルギーギャップを跨ぐため、超伝導電子対と常伝導電子の
2つの流体の性質を利用して光路を構成できる点で特徴的である。また、2万素子を
超える多素子化技術、3オクターブにわたる超広帯域アンテナ、低消費電力かつ
原理的にサブミリ波帯まで動作可能な超伝導パラメトリック増幅器、低損失かつ
柔軟なリボン導波路などの新技術が次々に出現しており、「アストロフォトニックな
アプローチによる技術革新の機会」という観点できわめて肥沃な領域に見える。

このような状況の下、我々TU Delft/SRON/Leidenのオランダグループは、
オンチップ超伝導フィルターバンクとMKID検出器を用いた超広帯域サブミリ波分光の
原理を考案し[2]、この原理に基づく最初の分光装置DESHIMA (Delft SRON 
High-redshift Mapper)の研究開発を進めてきた。2013年に入って、実験室で
600-700GHz帯での分光実証にも成功し[3]、東大IoA、国立天文台、JAXAの
日本グループがDESHIMAのASTE搭載に向けて研究開発に参加する。

本講演では、我々が世界最高感度かつ最大素子数を達成しているMKID検出器、
21,500画素の2色サブミリ波カメラA-MKID、オンチップ分光計DESHIMAの最新成果を
紹介した上で、アストロフォロニックな多天体分光計、超広帯域撮像装置などの
可能性を議論したい。

[1] Bland-Hawthorn and Kern, Phys. Today 65, 31 (2012)
[2] Endo et al., J. Low Temp. Phys. 167, 341 (2012)
[3] Endo et al., arXiv:1303.7151 [astro-ph.IM]

趣旨

東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています.
第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます.
講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています.

日時

場所

標準タイムテーブル

13:30-14:30院生コロキウム講義室
15:30-16:30談話会講義室
16:30-お茶の時間講義室横のお茶部屋~講師の方を交えて~

世話人

予定

#日付講演者 (所属)タイトル
2212013/05/09(Thu)遠藤 光(Delft University of Technology)アストロフォトニクス:オンチップ超伝導分光計DESHIMAの研究開発
2222013/05/16(Thu)Gu Liyi(Univ. Tokyo/RESCEU)Multi-wavelength Probe of Galaxy-Hot Plasma Interaction in Rich Clusters of Galaxies
2232013/05/23(Thu)南谷哲宏(東大/IoA)
2242013/05/30(Thu)田中賢幸(国立天文台)
2252013/06/13(Thu)新永浩子(国立天文台/チリ観測所)Submillimeter Astronomy at Mauna Kea
2262013/06/27(Thu)戸谷友則(東大)
2272013/06/28(Fri) 13:30-14:30井上開輝(近畿大)

終了した談話会(今年度)

詳細はこちら: 平成25 (2013) 年度談話会

#日付講演者 (所属)タイトル
2202013/04/26(Fri) 13:30-14:30Malte Schramm(IPMU)The co-evolution between black hole and galaxy over the past 12 billion years.
2192013/04/18(Thu)真喜屋 龍(東大/IoA)宇宙論的銀河形成モデルへの新たなフィードバック機構の導入
2182013/04/11(Thu)小麦真也(国立天文台ALMA東アジアセンター)星形成則の多変数化:星間物質の基本平面の発見

昨年度までの談話会


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