第218回: 2013/4/11(木) 15:30-16:30

小麦真也(国立天文台ALMA東アジアセンター)

「星形成則の多変数化:星間物質の基本平面の発見」

銀河は数kpcのスケールではガス密度に対して星形成率が指数関数的に増加する
という経験則がある。近年、巨大分子雲のスケール(~100pc)ではこの法則が
成立しなくなる事がわかってきた。このスケールでは分子雲個々の進化段階が大
きく関わってくるためだと考えられている。一方、分子雲から星を形成する上で
は進化段階以外にも星間塵や星間輻射場、高密度ガス成分の量など多くの変数が
関わってくることは明らかである。我々は、この複雑に相互作用しかつ時間変化
するシステムを統一的に説明するために野辺山の45m電波望遠鏡やASTE望遠鏡、
データベースなどを利用して超近傍の銀河M33の分子雲に対して多変数解析を行った。
その結果、巨大分子雲のスケールでガス密度と星形成率はたしかに相関しないが、
ダストや星間輻射場、高密度ガスなどを含めるとこれらの変数は3次元での平面を
二つ構成する事がわかった。これらが他の銀河でも一般的なものであれば、系内・
近傍銀河・遠方銀河の研究をつなぐ重要な結節点となる可能性がある。

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