要旨:銀河の基本的な活動は、ガスから星を形成し星質量を獲得していくことである。 銀河におけるガスは銀河間空間から銀河とその周辺環境の境であるハローを介し 銀河本体(銀河円盤)に供給される。ガスの供給によって銀河円盤では活発な 星形成活動が行われ、その後、形成された星からのアウトフローにより銀河円盤 からハローへガスが流出される。このように銀河円盤での星形成はハローを介した ガス供給・流出によって促進・抑制される。銀河円盤でのガス収支の痕跡は ハローを構成する淡いガス(銀河周辺物質 CGM)の観測から探ることができる。 CGM の形状や密度等の物理状態はガス収支を反映するため、その形状・性質の 理解は銀河の星形成史やそれに伴う銀河進化の解明への一助となる。近年、この CGM のトレーサーとして水素の再結合線である Lyα 輝線が注目されている。Lyα 輝線によって観測される CGM は Lyα halo と呼ばれており、その性質は、 Lyα 輝線銀河(LAE)やクェーサー(QSO)という銀河種族において特に調べられている。 本セミナーでは、LAE、QSO の Lyα halo に関して、これまでの研究をレビューする。