IoA Seminar 2013 / 2013年度・東京大学・天文学教育研究センター・談話会†
次回以降の談話会†
第228回: 2013/7/18(木) 15:30-16:30†
Speaker: 川中宣太(東京大)†
Title: 天体起源の宇宙線電子・陽電子について†
Abstract: 地球で観測される宇宙線陽電子は、標準的には超新星残骸などに
おいて加速された宇宙線核子が、星間物質と相互作用することによって
生成されると考えられている。ところが、2007年のPAMELA衛星により
10-100GeVにおける陽電子スペクトルが標準モデルから超過していることが
確認された。この傾向は2011年のFermiチーム、さらに2013年の
AMS-02チームによって確かめられており、標準モデルでは考慮されて
いない宇宙線陽電子源の存在を示唆している。また、ATIC, PPB-BETS,
H.E.S.S., Fermiなどの観測により、10GeV-TeVのエネルギー領域にお
いて電子・陽電子フラックスがやはり標準モデルの予測値を超えている
ことが示され、陽電子超過と合わせ系内に何らかの電子・陽電子源が存
在していることを強く示唆している。これまでに電子・陽電子源の候補
としては大きく分けてダークマター粒子(対消滅または崩壊)、パルサー
などの高エネルギー天体の2つが議論されているが、未だに決着はつい
ていない。我々は天体起源説に則り、系内にある単独もしくは複数の天体
から放射される電子・陽電子がどのようなスペクトルで観測されるかを調べ、
現在までの観測で得られているモデルへの制限、さらに将来の観測に
よって天体起源説が裏付けられる可能性について議論した。今回は我々の
成果に加え、最新の話題としてAMS-02の結果及びそれについて現在提示
されている理論的アイデアについてのレビューも行う。
東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています.
第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます.
講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています.
標準タイムテーブル†
13:30-14:30 | 院生コロキウム | 講義室 |
15:30-16:30 | 談話会 | 講義室 |
16:30- | お茶の時間 | 講義室横のお茶部屋~講師の方を交えて~ |
世話人†
- 河野 孝太郎: kkohno_at_ioa.s.u-tokyo.ac.jp (_at_を@に置き換えてください)
- 田辺 俊彦: ttanabe_at_ioa.s.u-tokyo.ac.jp (_at_を@に置き換えてください)
- 小西 真広: konishi_at_ioa.s.u-tokyo.ac.jp (_at_を@に置き換えてください)
# | 日付 | 講演者 (所属) | タイトル |
229 | 2013/07/18(Thu) | 川中宣太(東大) | 天体起源の宇宙線電子・陽電子について |
| 2013/10/03(Thu) | 紀 基樹(宇宙研) | |
| 2013/10/24(Thu) | 須田拓馬(国立天文台) | |
| 2013/11/21(Thu) | 岡朋治(慶應大) | |
| 2013/11/xx(Thu) | 小山佑世(国立天文台) | |
| 2013/12/20(Fri) 13:30-14:30 | 松岡良樹(国立天文台/プリンストン大) | |
終了した談話会(今年度)†
詳細はこちら: 平成25 (2013) 年度談話会
# | 日付 | 講演者 (所属) | タイトル |
228 | 2013/06/28(Fri) 13:30-14:30 | 井上開輝(近畿大) | ミニ重力レンズで探るダークマターの起源 |
227 | 2013/06/27(Thu) | 戸谷友則(東大) | すばるFMOSによる銀河赤方偏移サーベイで迫る宇宙の加速膨張:FastSound プロジェクトの進展状況 |
226 | 2013/06/13(Thu) | 新永浩子(国立天文台/チリ観測所) | Submillimeter Astronomy at Mauna Kea |
225 | 2013/06/06(Thu) | 高橋智子(国立天文台/チリ観測所) | Millimeter and Sbumillimeter studies of the Orion Molecular Filaments |
224 | 2013/05/30(Thu) | 田中賢幸(国立天文台) | On the formation time scale of massive cluster ellipticals based on deep near-IR spectroscopy at z~2 |
223 | 2013/05/23(Thu) | 南谷哲宏(東大/IoA) | Physical Properties of Dense Molecular Clumps in the Small Magellanic Cloud |
222 | 2013/05/16(Thu) | Gu Liyi(Univ. Tokyo/RESCEU) | Multi-wavelength Probe of Galaxy-Hot Plasma Interaction in Rich Clusters of Galaxies |
221 | 2013/05/09(Thu) | 遠藤 光(Delft University of Technology) | アストロフォトニクス:オンチップ超伝導分光計DESHIMAの研究開発 |
220 | 2013/04/26(Fri) 13:30-14:30 | Malte Schramm(IPMU) | The co-evolution between black hole and galaxy over the past 12 billion years. |
219 | 2013/04/18(Thu) | 真喜屋 龍(東大/IoA) | 宇宙論的銀河形成モデルへの新たなフィードバック機構の導入 |
218 | 2013/04/11(Thu) | 小麦真也(国立天文台ALMA東アジアセンター) | 星形成則の多変数化:星間物質の基本平面の発見 |
昨年度までの談話会†