IoA Seminar 2013 / 2013年度・東京大学・天文学教育研究センター・談話会†
次回以降の談話会†
第233回: 2013/10/24 (Thu) 15:30-16:30†
Speaker: 須田拓馬 (国立天文台)†
Title: 連星種族合成モデルで探る銀河系宇宙初期における初期質量関数の変遷†
Abstract: 宇宙初期に形成されたと考えられている銀河系ハローの金属欠乏星の中には炭素過剰
を示す星が数多く発見されており、その元素組成はAGB星を起源とする連星間質量輸
送によるものと考えられている。我々はこれまでに、初期質量関数のピークが10太陽
質量程度であると仮定することで銀河系ハローの炭素過剰星の分布が再現できること
を示してきた。
本講演では、恒星進化と連星進化を考慮した種族合成モデルを用いて炭素過剰星の
割合を調べ、初期質量関数の変遷がいつどこで起こったのかについて議論する。また、
種族合成モデルのパラメター依存性から、銀河系ハローの星の分布はSalpeter型の
初期質量関数では観測を説明できないことを実証する。
第234回: 2013/10/31 (Thu) 15:30-16:30†
Speaker: 米徳大輔 (金沢大)†
Title: 宇宙最大の爆発「ガンマ線バースト」の現象解明と初期宇宙観測への挑戦†
Abstract: ガンマ線バースト(GRB)は数10秒という短時間に $10^{52}$ erg もの
エネルギーをガンマ線放射として解放する宇宙で最も大きな爆発現象です。
ガンマ線放射メカニズムについては、よくわからないことが多く、
GRB 現象の中でも最大の謎となっています。
私たちの研究グループは「ガンマ線偏光」を観測できる小型の検出器を
開発し、小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」に搭載しました。
これまでに3例の GRB からガンマ線偏光を検出することに成功しましたので、
放射メカニズムは磁場中のシンクロトロン放射であろうと考えています。
近年の宇宙観測は大型化の一途を辿っていますが、この 4kg にも満たない
小型の観測装置で「ガンマ線偏光観測」という新しい分野を開拓し、
最先端の科学成果を示すことができましたので紹介させていただきます。
近い将来に GRB を用いた初期宇宙観測を推進する目的で、小型科学衛星
HiZ-GUNDAM 計画を立案し、検討を進めています。赤方偏移 z>7 の時期は
第一世代星の誕生、宇宙再電離、宇宙で最初のブラックホールの誕生など、
極めて重要な課題が多く、天文学全体にわたって初期宇宙観測を推進しよう
という気運が高まっています。HiZ-GUNDAM と地上望遠鏡の連携で、初期宇宙の
物理状態を探査したいと考えています。このプロジェクトの科学目的や
概要について紹介させていただこうと思います。
東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています.
第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます.
講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています.
標準タイムテーブル†
13:30-14:30 | 院生コロキウム | 講義室 |
15:30-16:30 | 談話会 | 講義室 |
16:30- | お茶の時間 | 講義室横のお茶部屋~講師の方を交えて~ |
世話人†
- 河野 孝太郎: kkohno_at_ioa.s.u-tokyo.ac.jp (_at_を@に置き換えてください)
- 田辺 俊彦: ttanabe_at_ioa.s.u-tokyo.ac.jp (_at_を@に置き換えてください)
- 小西 真広: konishi_at_ioa.s.u-tokyo.ac.jp (_at_を@に置き換えてください)
# | 日付 | 講演者 (所属) | タイトル |
233 | 2013/10/24(Thu) | 須田拓馬(国立天文台) | 連星種族合成モデルで探る銀河系宇宙初期における初期質量関数の変遷 |
234 | 2013/10/31(Thu) | 米徳大輔 (金沢大) | 宇宙最大の爆発「ガンマ線バースト」の現象解明と初期宇宙観測への挑戦 |
235 | 2013/11/14(Thu) | 鶴剛(京都大) | |
236 | 2013/11/21(Thu) | 岡朋治(慶應大) | |
237 | 2013/11/28(Thu) | 小山佑世(国立天文台) | |
| 2013/12/20(Fri) 13:30-14:30 | 松岡良樹(国立天文台/プリンストン大) | |
終了した談話会(今年度)†
詳細はこちら: 平成25 (2013) 年度談話会
# | 日付 | 講演者 (所属) | タイトル |
232 | 2013/10/03(Thu) | 紀 基樹(宇宙研) | 活動銀河核ジェット最深部の磁場強度 |
231 | 2013/10/02(Wed) 11:00-12:00 | 岸本 真(MPI) | A unifying view of AGN sub-pc scale structure as directly revealed by infrared interferometry |
230 | 2013/09/06(Fri) 13:30-14:30 | Alain Omont (Institut d'Astrophysique de Paris, CNRS and UPMC) | Herschel high-z sub-millimeter galaxies and gravitational lenses: H2O, a new diagnosis of their starburst |
229 | 2013/07/18(Thu) | 川中宣太(東大) | 天体起源の宇宙線電子・陽電子について |
228 | 2013/06/28(Fri) 13:30-14:30 | 井上開輝(近畿大) | ミニ重力レンズで探るダークマターの起源 |
227 | 2013/06/27(Thu) | 戸谷友則(東大) | すばるFMOSによる銀河赤方偏移サーベイで迫る宇宙の加速膨張:Fast Sound プロジェクトの進展状況 |
226 | 2013/06/13(Thu) | 新永浩子(国立天文台/チリ観測所) | Submillimeter Astronomy at Mauna Kea |
225 | 2013/06/06(Thu) | 高橋智子(国立天文台/チリ観測所) | Millimeter and Sbumillimeter studies of the Orion Molecular Filaments |
224 | 2013/05/30(Thu) | 田中賢幸(国立天文台) | On the formation time scale of massive cluster ellipticals based on deep near-IR spectroscopy at z~2 |
223 | 2013/05/23(Thu) | 南谷哲宏(東大/IoA) | Physical Properties of Dense Molecular Clumps in the Small Magellanic Cloud |
222 | 2013/05/16(Thu) | Gu Liyi(Univ. Tokyo/RESCEU) | Multi-wavelength Probe of Galaxy-Hot Plasma Interaction in Rich Clusters of Galaxies |
221 | 2013/05/09(Thu) | 遠藤 光(Delft University of Technology) | アストロフォトニクス:オンチップ超伝導分光計DESHIMAの研究開発 |
220 | 2013/04/26(Fri) 13:30-14:30 | Malte Schramm(IPMU) | The co-evolution between black hole and galaxy over the past 12 billion years. |
219 | 2013/04/18(Thu) | 真喜屋 龍(東大/IoA) | 宇宙論的銀河形成モデルへの新たなフィードバック機構の導入 |
218 | 2013/04/11(Thu) | 小麦真也(国立天文台ALMA東アジアセンター) | 星形成則の多変数化:星間物質の基本平面の発見 |
昨年度までの談話会†