2012年度・東京大学・天文学教育研究センター・談話会

次回以降の談話会

第197回: 2012/04/26(木) 13:30-14:30

和田 桂一 氏 (鹿児島大学)

「動的平衡状態としての銀河渦巻」
銀河渦巻の発生/維持のメカニズムとして有名なのが、1960年代に提唱された、
「密度波仮説」と呼ばれる理論である。
この理論では、渦巻き腕は、「腕」という実体ではなく、恒星系円盤中に伝わる
「密度波」と考える。
これによって、「巻き込みの困難」が避けられると考えられていた。
この仮説に基づき、60-70年代にかけて、きつく巻いた(ピッチ角小)近似や定常を
仮定した「銀河衝撃波」の理論研究が多くなされた。2次元時間発展の場合の
「銀河衝撃波」の構造は、80年代後半になって、数値シミュレーションによって
はじめて示された。
その後、長い停滞期があったが、2000年代になり銀河衝撃波には、様々な不安定性や
不安定の非線形成長の結果「準安定状態」が存在することがわかってきた。
しかし、以上の研究では、恒星系とガス系の相互作用は限定的にしか扱われていなかった。
最近、われわれのグループは、恒星系円盤の高精度N体計算、および恒星系円盤と
星間ガスを含んだ場合の銀河円盤について、よりコンシステントな理論計算を行った。 
それの結果、銀河の恒星系渦巻き構造は本質的に非定常であり、生成と破壊を
繰り返していることが、銀河差動回転とともに運動(つまり、「巻き込んでいる」)
ことが明らかになった。
星間ガスも同様に運動しており、銀河の腕構造は銀河衝撃波「ではない」ことを
示した。これらの一連の研究により、渦巻き銀河のダイナミクスについての理解は、
密度波仮説からおよそ40年を経て、本質的な進展をしつつある。
本講演では、銀河の渦巻きを形作るメカニズムの最新理論研究について紹介する。

趣旨

東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています.
第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます.
講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています.

日時

場所

タイムテーブル

13:30-14:30院生コロキウム講義室
15:30-16:30談話会講義室
16:30-お茶の時間講義室横のお茶部屋~講師の方を交えて~

世話人

予定

#日付講演者 (所属)タイトル
1972012/04/26(木)和田 桂一 氏 (鹿児島大学)「動的平衡状態としての銀河渦巻」
1982012/05/12(木)Chris Packham 氏 (Univ. Florida)未定
-2012/07/12(木)Robert Quimby 氏 (IPMU)未定

終了した談話会(今年度)

詳細はこちら: 平成24 (2012) 年度談話会

#日付講演者 (所属)タイトル
1942012/04/02(火)Richard Blank 氏 (Teledyne Imaging Sensor)"Focal plane arrays and focal plane electronics for large scientific telescopes – new developments at Teledyne"
1952012/04/04(木)羽澄 昌史 氏 (KEK)「宇宙マイクロ波背景放射偏光観測によるインフレーション宇宙の検証」
1962012/04/11(木)鈴木 尚孝 氏 (LBNL)「高精度観測的宇宙論時代へ向けて」

昨年度までの談話会


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