IoA Seminar 2013 / 2013年度・東京大学・天文学教育研究センター・談話会

次回以降の談話会

第228回: 2013/6/28(金) 13:30-14:30

Speaker: 井上開輝(近畿大)

Title:ミニ重力レンズで探るダークマターの起源

Abstract: 我々の研究グループは超高解像度N体シミュレーションの
結果を用いて、四重像QSO-銀河レンズ系にみられる中間赤外(MIR)
フラックス比異常が視線方向の小さなハローやボイドによる
弱い重力レンズ効果で説明できる可能性が高いことを初めて示しました。
我々のモデルでは、光源までの距離が大きくなれば、視線方向に
重なるハローやボイドの数が多くなるので、光源の赤方偏移が大きいほど
フラックス比異常の程度が強まる傾向を自然に説明することが可能です。
従来はこの異常は主にレンズ銀河内にある小さなダークハロー(サブ構造)に
起因するものと考えられてきましたが、今回の結果はその「常識」を
くつがえす可能性を秘めています。さらに、この結果を用いれば、
温かいダークマター(WDM)など矮小銀河程度の質量スケールのゆらぎに
カットオフが入るモデルに強い制限を与えることが可能です。本講演では、
初めに構造形成からみたダークマターの分類に関するレビューを行い、
次に重力レンズの基本を説明します。その後、視線方向のミニ構造が
四重レンズ像のフラックス比におよぼす摂動効果に関する最新の結果を
紹介し、最後にサブ構造と識別する方法やダークマターの制限に関する
今後の展望を述べます。

趣旨

東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています.
第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます.
講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています.

日時

場所

標準タイムテーブル

13:30-14:30院生コロキウム講義室
15:30-16:30談話会講義室
16:30-お茶の時間講義室横のお茶部屋~講師の方を交えて~

世話人

予定

#日付講演者 (所属)タイトル
2282013/06/28(Fri) 13:30-14:30井上開輝(近畿大)ミニ重力レンズで探るダークマターの起源
2292013/07/18(Thu)川中宣太(東大)天体起源の宇宙線電子・陽電子について
2013/10/03(Thu)紀 基樹(宇宙研)

終了した談話会(今年度)

詳細はこちら: 平成25 (2013) 年度談話会

#日付講演者 (所属)タイトル
2272013/06/27(Thu)戸谷友則(東大)すばるFMOSによる銀河赤方偏移サーベイで迫る宇宙の加速膨張:FastSound プロジェクトの進展状況
2262013/06/13(Thu)新永浩子(国立天文台/チリ観測所)Submillimeter Astronomy at Mauna Kea
2252013/06/06(Thu)高橋智子(国立天文台/チリ観測所)Millimeter and Sbumillimeter studies of the Orion Molecular Filaments
2242013/05/30(Thu)田中賢幸(国立天文台)On the formation time scale of massive cluster ellipticals based on deep near-IR spectroscopy at z~2
2232013/05/23(Thu)南谷哲宏(東大/IoA)Physical Properties of Dense Molecular Clumps in the Small Magellanic Cloud
2222013/05/16(Thu)Gu Liyi(Univ. Tokyo/RESCEU)Multi-wavelength Probe of Galaxy-Hot Plasma Interaction in Rich Clusters of Galaxies
2212013/05/09(Thu)遠藤 光(Delft University of Technology)アストロフォトニクス:オンチップ超伝導分光計DESHIMAの研究開発
2202013/04/26(Fri) 13:30-14:30Malte Schramm(IPMU)The co-evolution between black hole and galaxy over the past 12 billion years.
2192013/04/18(Thu)真喜屋 龍(東大/IoA)宇宙論的銀河形成モデルへの新たなフィードバック機構の導入
2182013/04/11(Thu)小麦真也(国立天文台ALMA東アジアセンター)星形成則の多変数化:星間物質の基本平面の発見

昨年度までの談話会


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS