第243回: 2014/04/17 (Thu) 15:30-16:30†
Speaker: 田中雅臣 (NAOJ)†
Title: 重力波天文学時代の突発天体観測†
Abstract:
2017年頃からの稼働を予定している次世代重力波望遠鏡によって、
連星中性子星合体からの重力波が直接検出されることが期待されています。
しかし、重力波による位置決定精度は数10平方度程度であり、
重力波源の天体物理学的な起源を明らかにするためには、
電磁波観測による天体の同定が必要不可欠です。
談話会では、(1) このような突発天体を探すために、
私たちが木曽観測所シュミット望遠鏡やすばる望遠鏡を用いて行っているサーベイの現状と
(2) 連星中性子星合体から期待される電磁波放射の理論的研究を紹介します。
これらをもとに、重力波天文学時代にどのような電磁波観測が必要かを議論します。
第244回: 2014/04/24 (Thu) 15:30-16:30†
Speaker: 石井峻 (東大天文センター)†
Title: 南極天文学開拓のための可搬型サブミリ波望遠鏡の開発†
Abstract:ドームふじ基地は昭和基地から1000km内陸の高地にある
日本の南極基地である。標高3800m、気温-20~-80℃の環境のため
大気中の水蒸気が極めて少なく、1THz以上の領域でも大気の窓が
開くと期待される。筑波大学、東北大学、極地研究所を中心とした
グループはドームふじ基地に10m級のテラヘルツ望遠鏡、2.5m級の
赤外線望遠鏡を設置し、この南極の大気を活かした天文観測を実現
すべくサイト開拓と望遠鏡開発を進めている。
テラヘルツ望遠鏡の設置に向け、私たちはプロトタイプとなる
可搬型サブミリ波望遠鏡を開発した。可搬型望遠鏡は30cmの口径と、
500GHz帯ヘテロダイン受信機を備え、南極での望遠鏡運用技術の
獲得とサイエンスの実証を目的にサブミリ波輝線、CO(J=4-3)輝線
および[CI](3P1-3P0)輝線での銀河面サーベイを行う。本講演では、
南極望遠鏡計画と開発した可搬型望遠鏡を紹介し、ドームふじ基地
での運用に先立ちチリで実施した試験観測の結果およびテラヘルツ
望遠鏡開発の進捗を報告したい。