Abstract: 私たちの住む太陽系には彗星や小惑星から生成された小さな固体微粒子が漂っている.これらは惑星間空間ダストと呼ばれている.地球は惑星間空間ダストが飛び交う空間の中を運動しており,大量のダスト粒子が絶えず地球大気に降り注いでいる.地球大気に突入したダストは空力加熱によって蒸発しつつ周囲の大気を電離させ,またエネルギーの一部を光として放射する.こうした惑星間空間ダストが大気との相互作用によって引き起こす現象を流星と呼ぶ.流星の観測は惑星間空間ダストの性質をひと粒ずつ調べることができるという点で重要である.特に地球軌道近傍に存在する惑星間空間ダストの質量の大部分は流星観測が有効な範囲にある.これまで,微小なダストが引き起こす流星は大口径のレーダー施設による観測が主流だったが,ビデオカメラの性能向上によって可視光での研究も進みつつある.東京大学木曽観測所では 105-cm シュミット望遠鏡用の広視野動画観測カメラ「トモエゴゼン」を開発してきた.「トモエゴゼン」ではこれまで観測が難しかった 10 等級よりも暗い流星を観測することができる.講演では 2018 年に実施した「トモエゴゼン」と京都大学生存圏研究所の MU レーダーによる同時観測の結果を紹介する.可視光とレーダーで同時に 228 件の流星を検出することに成功した.また,レーダーによる測定量 (レーダー反射断面積) から可視光の明るさを推定するための経験式を導出した.この結果を元に MU レーダーによる流星観測データベースを解析することによって,惑星間空間ダストの質量頻度分布関数を調べた.地球に降り注ぐ惑星間空間ダストのうち流星として観測される総量は一日におよそ 1,000 kg 程度であると推測される.
Language: Japanese
東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています. 第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます. 講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています.
13:30-14:30 | 院生コロキウム | 講義室 |
15:30-16:30 | 談話会 | 講義室 |
16:30- | お茶の時間 | 講義室横のお茶部屋~講師の方を交えて~ |
ML: semiadm _at_ ioa.s.u-tokyo.ac.jp
please replace _at_ with @
# | Date | Speaker | Title | Chair |
363 | 2020/12/17(Thu) 15:30 - 16:30 | 大澤亮 Ryou Ohsawa (東京大学) | 流星の観測から探る惑星間空間ダスト | TM |
詳細はこちら: 令和2(2020)年度談話会
# | Date | Speaker | Title | Chair |
359 | 2020/10/08(Thu) 15:30 - 16:30 | 吳柏鋒 Wu, Po-Feng (EACOA Fellow/NAOJ) | The blind men and the elephant: Multiple evolutionary paths from star-forming galaxies to quiescence | TT |
360 | 2020/10/15(Thu) 15:30 - 16:30 | 行方宏介 Namekata, Kosuke (京都大学) | Stellar superflares on late-type stars - recent results by 3.8-m Seimei telescope | TM |
361 | 2020/12/03(Thu) 15:30 - 16:30 | 瀧田 怜 Takita, Satoshi (東京大学) | 「あかり」アーカイブデータ | TM |
362 | 2020/12/10(Thu) 15:30 - 16:30 | 野田博文 Hirofumi, Noda (大阪大学) | X線観測による巨大BH近傍の研究とXRISMを用いた展望 | HS |