Abstract:
近年、系外惑星の探査研究が目覚しい。初期のM-G型星の活動は活発だったという議論もあり、中心星が周囲の惑星の中層大気の物理・化学的環境、ハビタブルゾーンに与える影響について、より詳しい理解が急務となってきている。そこで、我々はまずG型星である太陽の現在の活動が地球型惑星の中層大気にどのような影響を与えているか理解を深めるべく、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の口径10 mのミリ波望遠鏡をもちいて、太陽系惑星大気監視プロジェクト(SPART:Solar Planetary Atmosphere Research Telescope) を推進している。2011年からは金星や火星の一酸化炭素の回転遷移による100/200GHz帯吸収スペクトルのモニタリングを実施しており、談話会では、本プロジェクトの取り組みや、短・中期スケールの観測によって見えてきた太陽系地球型惑星の大気現象や太陽活動との関連について紹介する。また、最近の他波長・他測器による太陽系惑星の地上・衛星観測ミッション・将来計画などについても俯瞰する予定である。
"Optical Observations of Nonradiative Filaments in Supernova Remnants"
Abstract:
典型的な超新星残骸の可視光スペクトルは、水素のバルマー線に加え、酸素や窒素、硫黄など重元素からの禁制線を示す。これらは、衝撃波によって加熱された星間雲など密度の濃いガスが冷却する際に生じる放射と考えられている。一方、一部の超新星残骸では、重元素からの禁制線を全く示さず、水素のバルマー線が卓越する可視光スペクトルもみられる。これらは衝撃波をトレースする非常に淡いフィラメントとして観測され、その放射エネルギーが衝撃波エネルギーに比べて無視できるほど小さいため非放射性衝撃波などと呼ばれている。その放射メカニズムは、中性ガス(水素)を含む星間媒質を進む(無衝突)衝撃波を素通りした水素が、衝撃波後方で完全電離される前に、励起・電荷交換する際に放たれると考えられている。その分光解析から、衝撃波直後の陽子温度が計測できるため、無衝突衝撃波における電子加熱過程や宇宙線加速を探る貴重なプローブとして重宝されている。本談話会では、我々が実施した非放射性衝撃波の観測結果―「すばる」HDS (long slit)による空間分離・高分散分光観測および木曽 105 cm シュミット望遠鏡による固有運動測定―を中心に今後の期待も交えてお話しする。
東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています. 第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます. 講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています.
13:30-14:30 | 院生コロキウム | 講義室 |
15:30-16:30 | 談話会 | 講義室 |
16:30- | お茶の時間 | 講義室横のお茶部屋~講師の方を交えて~ |
# | Date | Speakers | Title |
285 | 2016/6/23 (Thu) 15:30 - 16:30 | 前澤裕之 (大阪府立大学) | SPART望遠鏡の紹介と、他測器による最近の太陽系惑星観測の動向 |
286 | 2016/7/7 (Thu) 15:30 - 16:30 | 野村英子 (東京工業大学) | (TBA) |
287 | 2016/7/21 (Thu) 15:30 - 16:30 | 勝田哲 (中央大学) | 超新星残骸に伴う非放射性衝撃波(Hαフィラメント)の可視光観測 |
288 | 2016/9/8 (Thu) 15:30 - 16:30 | 大須賀健 (国立天文台) | (TBA) |
289 | 2016/9/29 (Thu) 15:30 - 16:30 | 中村卓史 (京都大学) | (TBA) |
詳細はこちら: 平成28 (2016) 年度談話会
# | 日付 | 講演者 (所属) | タイトル |
283 | 2016/4/14 (Thu) 15:30 - 16:30 | 山口正輝 (東大天文センター) | 位置天文観測による、長周期系外惑星および星質量ブラックホールの探査 |
284 | 2016/6/02 (Thu) 15:30 - 16:30 | 下条圭美 (国立天文台) | ALMAで探る太陽大気 |